見上げる新緑が生き生きと風にそよぎ、気持ちの良い五月晴れとなったツアー当日(5月12日)。三宮から約30分、バスに揺られ辿りついた淡河町には、彼方まで連なる山が望め、柔らかな川の音が響く、どこかホッとする懐かしい里山の風景が広がっていました。
最初に向かったのは、ナビゲーターの鶴巻さんが営む農園、その名も「つるまき農園」。今回のツアーには、子供から大人まで合わせて、なんと総勢19名もの参加者が集いました。
「親子でよく様々な体験ツアーに参加している」という方や、子供の幼稚園行事で過去にもこの農園に訪れたことがあるというリピーターさんなど、今回のツアーには、親子での参加が目立ちました。
それぞれの自己紹介が終わると、鶴巻さんからサツマイモの植え付け体験について説明を受けます。植え方にも様々あるようですが、今回はつるまき農園で行われている「斜め植え」を体験することに。この植え方をすると、収穫する時にサツマイモの大きさが比較的揃いやすいのだそうです。
説明が終わると、長靴に履き換え、軍手をはめていざ出発!まずは植え付けに欠かせない道具となる竹を採りに、畑からすぐそばの竹やぶへと向かいます。子供たちは足取りも軽く、冒険気分で楽しそう♪
「おおっと、気をつけて~!」滑りやすい急斜面も、みんなで手を取り合って、協力しながら下っていきます。
採って来た竹は、枝や葉を全て切り落とし、竹棒の状態にしていきます。鎌を使う作業も、子供たちにとっては普段の生活にはない貴重な体験。“危ないから使わせない”のではなく、怪我をしないよう自分たちで考えながら作業をさせてあげることも、学びのひとつなのですね。
そしていよいよ、サツマイモの植え付けの準備に入ります。害虫や雑草から作物を守る“マルチ”という黒いビニールを畑に敷き、飛ばないよう“トンボ”という留め具で固定していきます。
最後に、苗を植える場所に目印の穴を開けたら準備は完了!この道具は、転がすだけで6つの角に付けられた針が等間隔に穴を開けていってくれるという、なんとも画期的な機具!鶴巻さんの義祖父母“お手製”の道具なんだそう。先代の知恵は凄いですね!
さぁ、ここでやっと、みんなで作った竹棒の出番です!目印の穴に向かって斜めに突き刺し、サツマイモの苗を挿し込んでいく穴を掘っていきます。これが簡単そうに見えて、実は結構な力仕事!お父さんと一緒に、「せ~のっ!!」力を合わせて進めていきます。
サツマイモの苗は、しっかりと土に隠れるよう差し込んで植えていきます。根の長さを見れば、深く穴を掘らなければいけない理由が分かりますよね!
こちらでは、小さな参加者がお母さんと一緒に。「大きくなぁれ!」植えた苗に思いを込めます。初めてのサツマイモ体験は、初めての親子体験にもなり、家族で過ごす大切な思い出になっているようでした。
このあとは定期的に畑の雑草を抜いたり、伸びた蔓(つる)を返したりしながら、ほとんど自然の状態にまかせて育て、9月以降に収穫の時期を迎えます。本来、サツマイモは雨が降る前に植えるのがベストなんだそう。明日の天気予報は、なんと雨。まさにベストタイミングでのサツマイモ植え体験となったのでした。
続いて参加者たちが訪れたのは、江戸時代中期に建てられた「淡河宿本陣跡(おうごしゅくほんじんあと)」。本陣とは、参勤交代の大名や、位の高い家来たちの宿泊や休憩の場所として指定された民家のこと。淡河は、かつて豊臣秀吉によって楽市が行われていた所としても名を残しています。
2015年に、それまで50年ほど手付かずの空き家だったこの本陣跡を守ろうと、地域の人たちが立ちあがり、リノベーションを開始。様々な人達の想いと力によって息を吹き返した本陣跡は、いまでは淡河町に欠かせない、コミュニティースペースとなっています。
さらに、本陣跡を身近な場所としてもっと多くの方に気軽に利用してもらおうと、昨年の夏にオープンしたのが、「本陣カフェ chawan」です。普段はお茶やスウィーツを楽しめるカフェですが、本日はツアーのために、特別にランチを作っていただくことに。
淡河の春の食材をたっぷりと使った美味しそうなメニューを前にして、畑仕事でお腹もペコペコな子供たちは一瞬で元気に!目を輝かせながら、次々運ばれてくる料理をお皿いっぱいに乗せていきます。大人達も、美味しそうな匂いに自然と顔がほころびます。
この日いただいたのは、手作り味噌を使ったchawan特製お味噌汁をはじめ、鶴巻さんの畑で採れたお米を使った炊き立てごはん、春キャベツのコールスローに、新じゃがと葉たまねぎの豆乳ソースグラタンなど、淡河の産物尽くしのメニュー!優しい味付けが、疲れた身体に染み渡ります。
おかわりもして、おなかいっぱいになった後は、1時間のフリータイム。お昼寝をするもよし、敷地内を探検するもよし、本陣跡で思い思いの時間を過ごします。
気持ちよく晴れたこの日は、立派な日本庭園をゆっくり眺めながら過ごせる縁側が人気。子供は広い庭や屋敷を元気にかけまわり、大人はくつろぎながら、その様子を見守ります。そして最後に、みんなで記念撮影をしてツアーは終了です。
今回のツアーの魅力は、手軽に“非日常を味わえる”こと。都会的なイメージが強い神戸にも、少し場所を変えれば、こんなにも自然豊かな暮らしがあることを知れた一日でした。普段の生活に癒しをもらいたいときにもオススメですよ!淡河の魅力をたくさん教えてくれた鶴巻さんの今後の活動も、要チェックです^^
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○つるまき農園
〒651-1613
兵庫県神戸市北区淡河町行原451-1
http://tsurumakikosuke.blog.jp/
○淡河宿本陣跡
〒651-1603
兵庫県神戸市北区淡河町淡河792−1
http://www.ogo-machiken.com/