毎日、淡路島。#7 だから毎日、淡路島(終)

2016年に東京から淡路市に移住し、私は子育てを主軸にライター業を、夫は会社員で、毎日淡路市からバス通勤で神戸に通っています。リアルな我が家の「デュアルな暮らし」を綴る連載です。

こんにちは、淡路市に住む時友真理子です。2016年に東京から淡路市に移住し、私は子育てを主軸にライター業を、夫は会社員で、毎日淡路市からバス通勤で神戸に通っています。淡路島の子育て事情などを含め、リアルな我が家の「デュアルな暮らし」を綴ってきた連載です。第7回目は最終回となります。

 

淡路島に移住して丸3年が経ちました。まだたったの3年なのですが、とても長くここにいるかのような気がしています。もうすっかり慣れたのかと問われると、そうでもないなと感じます。馴染んだのかと聞かれたら、うん。と言えそうな気はするのですが。

やはり、淡路島にはまだ慣れていないと思います。何と言えばいいのでしょうか、新しい生活を始めて4年目に突入した今でも、こうやって少し立ち止まって、この場所で生活していることに思いを馳せると少し目頭が熱くなる自分がいるからです。まだ信じられないというか、選択できてよかったなぁとグッとくるというか。

ではそんなに淡路島は非日常感が強いのかというと、あまりそうではないと私は思っています。淡路島って「非日常」という言葉は何だか似合わないな、と感じることの方が多いです。

口はすごく悪いけど、才能があって仕事もずば抜けてできる人っていますよね? 激しい短所の裏にそのよさもまたある、みたいな。人気の観光地ってだいたいそういうものがあるような気がするのですが、そんな強烈さを持つ何かがある場所ではありません。国生み神話や御食国と言われるところの食の豊かさは、過去に力説してきたように、大きな特徴ではありますが、それらにピンと来る人たちは意外と少数派です。メジャーでミーハーな何かをそんなに持ち合わせていない場所な気がしています。

でもやはり、関西の人は何だか淡路島が好きで、大型連休のときなどはとても混雑します。来ている人たちをコンビニなどで観察していると「お給料日だからちょっと奮発していつもよりいいお肉買っちゃおうか」みたいなノリで淡路島に来ているように感じます。「二泊三日で韓国に行っちゃおう!」みたいなウキウキ感はなく、やはりどこか日常の延長線上にあるお楽しみの時間を過ごしているように感じるのです。なんとなく、ちょっと、いい感じ。それが淡路島の魅力なのだと、私は思います。

トロピカルできらきらした雰囲気はないけれど、透明度の高い海がそこら中にあり

アウトドア派が気合いをいれて集まるような自然はないけれど、ちょっと歩けば気軽に触れられる自然があり

超高級で海外にも名を馳せるようなレストランはないけれど、いつでも手軽に新鮮な野菜と魚と肉と果物と花を家の食卓に並べられて

刺激が欲しければさっくり都市にも出ていける。

でもね、これが日常って、やっぱりすごいなと思いませんか?
私はこの日常を実際の毎日の景色として目にしながら過ごしているのです。
この日々に思いを馳せると、同時に思い出す景色たちがあまりに美しくて、目頭が熱くなってしまうのです。

運転していて目に飛び込んでくる、海面と空の境が青と水色と藍のグラデーションで綴られる景色や、夕暮れ時の茜色とピンクと紫のグラデーションが暗くかげる山に落ちていく景色。

黄金色の稲穂が頭を垂れて一面に光り輝く景色や、新緑の稲の間に風の通り道ができて、稲たちがいっせいに踊るかのように揺れ動く瞬間。

わざわざ休みを取って旅に出ないと出会えなかったような景色が、あくせくと過ごすような日々のなかでも、突如現れ、ちゃんと呼吸することを思い出させてくれる。私にとって淡路島で暮らすこの今の感じは、「普通の毎日のすぐそばに、いつも淡路島がいてくれる」そんな感じなのです。その思いを込めて、この連載のタイトルも「毎日、淡路島。」にしました。

最近は「移住」という言葉を多く見かけますし、「移住者である」ということで取り上げていただけたり、「移住」のおかげで嬉しいことも有難いこともたくさん起こっています。でも「移住」がそんなに特別なことだとは、全く思っていません。自分の求める方向に素直になってみたら、長年育ったところとは違う場所にたどり着いてしまった、ただそれだけのことです。別にわざわざ移住しなくてもいいと、本当に、心から、思います。自分という人間は地球の果てまでついて回ります。場所が変わったって、変わらないことの方が多いとも思います。移住なんて、最初の一歩に関しては、距離が遠ければ遠いほど、確実に大変なことも多いです。周囲への説明とか、仕事とか、引越しとか。

 

これだけ移住の話を書いてきて、最後に何だよと思われるかもしれませんが、淡路島に移住することをすすめたくて書いてきたわけでは決してありません。でも、少しでも淡路島のことが気になった人には、ぜひ一度足を運んでみてほしいと思っています。明石海峡大橋を渡って、後ろの街を振り返りながら、大きな海の上を進み、島に近づいていくあの感覚、爽快です。夜の神戸側の景色に飛び込む帰り道もまた、とても美しいものです。意外と皆さん、寝ちゃうポイントなので、しっかり目を覚まして体感できるように、この部分だけは覚えておいてくださいね。今回が初めてという方も、ずっと読んで下さった方も、最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。淡路島から感謝を込めて、連載を終わりたいと思います。

この暮らし体験のナビゲーターについて

時友 真理子

2016年3月に東京の中目黒から淡路市へ夫婦とセキセイインコの3人家族で移住してきました。その1か月後に長男を授かり、現在は島での子育てを楽しむ日々を送っています。

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