保育士起業家のデュアルな暮らしVol.3
そもそも一人で育てようと思ってない!
理想の子育て環境・暮らしは自分でつくるもの。

神戸市暮らしナビゲーターの小笠原舞の「保育士起業家のデュアルな暮らし」コラム 最終 第3弾!

子育ては一人でせずに、周囲とする

こんにちは! 保育に関するアドバイスやコンサルタントを業務としている保育起業家の小笠原舞です。結婚を機に関東から神戸・長田に移り住み、淡路島とのデュアルライフを満喫中の私が、その経験とリアルを連載コラムにしています。
第1回のコラムでは神戸に移住した理由について、第2回は私が神戸で行ってきた数々の実験をご紹介しましたが、コラム最後となる第3回は、私の子育てについて書いてみようと思います。

2010年から保育士をして、
2012年から子育てコミュニティ「asobi基地」を運営して、
2013年から「合同会社こどもみらい探求社」を経営して、
たくさんの子ども・大人・家族に出会う中で、私が出した1つの結論は、
そもそも子育てを一人でするのは無理!たくさんの人の力を借りるべし!
ということでした。

昨年、一児の母になり、仕事もセーブしないで続けている毎日の中で、今まで以上にそのことを実感する身となった私が、どういう風にそれを実践しているのかをご紹介していきたいと思います。
まず痛感するのは、「人の目があるということのありがたさ」です。

私の場合、「子どもに対して自分以外の人の目がある状態」を可能にしてくれているのは、わが家から徒歩3分ほどのところにある「はっぴーの家 ろっけん」です。

「はっぴーの家 ろっけん」はいわゆるサービス付高齢者住宅なのですが、誰でも出入り自由で、子どもも近所の人も好きに出入りして、好きに時間を過ごしているまるでまちの集会場のような存在です。

そこに息子を連れて行って、備え付けのベビーベッドにほいっと寝かしておくと、すぐにそれに気付いたおじいちゃんが1時間以上もこうして見ていてくれるので、その間にやりたいことができてしまうという、仕事を持つお母さんにとっては夢のようなことが起こります。

おじいちゃんやおばあちゃんだけではありません、「はっぴーの家」に出入りしている近所の子どもたちも、「抱っこさせて」とか「ミルクあげてみたいな~」といって寄って来てくれます。

子どもだからといって事故になるようなことは、ほぼ起こりません(もちろん近くには私もいます)。子どもは子どもなりに大事なものを預かっているという自覚と使命感をもって、一生懸命、注意して、工夫もしてくれるものです。

保育のプロじゃなくたって、こうして信頼できる人の目があることで私に余白が生まれ、仕事がはかどるだけでなく、心が穏やかになることを感じます。
そしてこういう時空の中で母親が孤立せず、心穏やかに過ごすことが、こどもの健やかな成長にもつながるのです。

 

他人が加わると世界が広がる。

もう一つ、みんなに子育てを手伝ってもらう大きな利点があります。
それは、子育てをわが家だけで完結させないことによって、子どもがいろんな大人に出会うことができることです。

世の中には私自身がまったく興味のないこともたくさんあって、私一人では見せてあげられない世界がたくさんあるものです。それを周囲の大人たちが息子に教えたり体験させたりしてくれて、息子の世界は日々どんどん広がっています。

社会に出るといろいろなことが起こります。交わる人の感性も価値観もいろいろです。それを小さなうちから体感させてあげられて、息子なりに対応力を付けていく様子を見ていると、息子の将来が強くたくましいものになることを実感します。

さらに私(親)にとってもいいことがあります。
自分の子どもとの間に隙間をつくることで、自分や子どもについて、そしてその関係性について、改めて見えてくるものがあるのです。たとえば、息子がいつも自分に見せているのとは違う反応や表情をした時に、息子の違う一面を見ると同時に、自分の見ている息子がすべてではなく、そのことをちゃんと認めて息子を尊重できる母親でありたいと思ったりするのです。

このように他人とつながり、頼ることは、子どもにとっても親にとっても一石二鳥。いや、二鳥どころか、五鳥くらいメリットがあることなのではないかと思っています。

両親不在の中、町のイベントで抱っこされ楽しそうな息子

自分を変える、自分で変える。

行政にそんなサービスがないから….
住んでる地域にそういうものがないから….
こんなサービスあったらいいのに….

こんな風に思って、じっと待っているのは簡単ですが、それではなかなか解決しないことのほうが多いものです。その間にどんどんしんどくなって親も子も疲れ果てていくのです。

つまり、いちばん早い方法は、自分が変わること、もしくは自分で変えること。

こうでなくちゃ、こうであるべき、という思い込みの呪縛を解いてみる、思い切って「助けてもらえませんか?」と言ってみる、「こういうことで困っているんです!」としかるべき役所や機関に相談または談判してみる。

どれも自分の気持ちを切り替えるだけですぐにできることです。そしてそうしたアクションを起こすことによって、また違う人と知り合えたり、違う世界とつながれたりする、そのことも素晴らしいと思うのです。
こんな考え方の親をもち、いろいろな大人や子どもに囲まれて生きる息子。いったいどんな人間に育つのか、何年も先の息子の姿を想像しながら、ニヤニヤしてしまう私です。

この暮らし体験のナビゲーターについて

小笠原舞

お住まいのエリア:神戸市
職業・所属など:保育士起業家 / 合同会社こどもみらい探求社 共同代表

詳しいプロフィールはこちら

その他カテゴリーの記事をみる