昨夏、洲本市にオープンした貸別荘スタイルの宿泊(グランピング)施設「GREEN’S FARMS」で農場長を務める傍ら、グリーンショップの運営、園芸装飾デザイナーなど、多方面で活躍する藤田毅さん。彼が家族とともに暮らしの拠点を洲本市へと移したのは2016年4月のこと。
「長く園芸に携わってきて、いつか広い敷地で一生かけて自分の庭を作ってみたいというあこがれがありました。淡路島は瀬戸内の温暖で穏やかな空気に包まれていて、作りたい植物や野菜たちがのびのびと育つ気候。この場所なら自分の思い描いていたものが実現できると感じ、移住を決めました」
神戸市出身の藤田さんは、淡路島の対岸に位置する神戸市・舞子出身。淡路島の海や山は“子供の頃から遊び場として身近な存在”だったそうで、生活拠点を移すことにもプレッシャーは感じなかったそう。奥様の文有子さんは知り合いが一人もいなかったため、移住するまでは少し不安もあったそうですが、
「住めば都というのは本当で(笑)。洲本市は学校や病院など、暮らしまわりの環境も整っているので、自然と街に馴染むことができたように思います」
藤田さんが農場長を務めるGREEN’S FARMS。もともと農家だった約7000坪の土地には野菜やハーブ、植物などを育てる畑をメインに、湖や遊具が置かれた広場、テントやティピー、トレーラーハウスなどが揃い「宿泊できる農場」として人気を集めています。
さらに「植物だけでなく、子どもを育てる場所としても多くの自然に囲まれたこの場所は理想的でした」と藤田さん。
「僕は植物相手に仕事しているので決まった休日などはありません。でも、ここでなら家族と一緒に、ゆったりとした時間の中で仕事をすることができる。子供達と過ごす時間も、以前よりずいぶん増えたように思います」
文有子さんも「今まで気づかなかった夫や子供たちに対する小さな新しい発見がいくつもありました。きっと時間の流れが緩やかな分、気持ちに余裕が持てて、目が行き届くようになったんでしょうね。視界がぱっと広がったような気分なんです」。
仕事の合間をぬって施設内の遊具で遊んだり、ペットのヤギに餌をやったり。ときには朝早く近くの港へ家族で釣りに出かけることも。すぐ目の前に自然が広がる、この街だからこそ叶う暮らしです。
休日は神戸市内へ。
都市の便利さを満喫。
月に数回は家族で神戸市内へ。買い物をしたり友人のお店に顔を出したりと、アクティブに活動しているそう。
「思い立ったときにふらっと出かけていますね。夕食のときに「あ、明日行く?」って家族で話したりして。車で数十分程度の距離なので、神戸は隣町のような感覚」と微笑む文有子さん。
藤田さんも「子供の頃からずっと暮らしていたので、神戸にはすごく愛着があるんです。地元を散歩したり友達に会いに行ったりするような感覚で、街をフラフラしてますね。そういった意味では、生活拠点は移したけれど、地元を離れたという意識はあまりないのかもしれませんね」
モダンな街並みにファッション感度の高いショップが集う旧居留地エリア。街に点在する友人のお店を巡るのも楽しみなのだそう。
「淡路島=田舎暮らしというイメージもあると思いますが、私たちはそんなに田舎暮らしをしてるという気負いはないんです」と文有子さん。
「朝釣りに出かけたり、夕方に畑で収穫したり、そういった“田舎”の部分は味わいつつも、私みたいな都会が好きな人も無理なく暮らすことができるのが淡路のいいところ。自分が何かを我慢しながら、前と変わった暮らしをしているイメージはないですね。自然の中で暮らしながら、ちょっと足を運べば神戸の都会が味わえる。とても贅沢な暮らしだと思います」
島で暮らし、都市で遊ぶ“デュアルな暮らし”を満喫する藤田さんファミリー。田舎のゆるやかな空気と都市の便利さを、自分のタイミングで自由に行き来する。そんな柔軟な暮らしができるのも、島と都市が隣り合う、この街ならではの魅力なのかもしれません。
※このインタビューの模様は、コンセプトムービーでも見ることができます。
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