島&都市デュアルで教育移住を考えるVol.1
「芦屋市・前編」コンパクトなまちに、親身な子育て支援を凝縮

「都市の文化」と「自然」が共存するエリア、神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市の各市に、ネットではなかなか調べても出てこない各地域の教育情報を聞いてきました。

都会の喧騒から離れて、自然のなかで自分たちらしい子育てをしたいと考えている人が増えている昨今。でも、実際のところ、都会とは違ったどんな教育が行われているのか、気になるところでもあります。そこで今回、「都市の文化」と「自然」が共存するエリアにある神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市の各市に、ネットではなかなか調べても出てこない各地域の教育情報を聞いてきました。

第1回は「芦屋市・前編」です。

高級住宅地として全国に名をとどろかせている芦屋市。実は、屋外広告物に対する日本一厳しい規制基準の条例など景観保全がなされており、歩道の整備など、ただ歩いているだけでもとても気持ちの良い街でもあります。でも、そんなことより何より特筆すべきは、約18㎢の面積に10万人弱の人口というコンパクトさがもつ住みやすさ。そのメリットを存分に生かした子育てへの取り組みを芦屋市の方に聞いてきました。

*この記事に掲載されている内容はすべて2018年8月1日時点のものです
*この記事では市で行われている特徴的な子育て施策についてのみ言及しており、その全てではありません

芦屋市の未就学児への取り組み
「芦屋市のコンパクトさを生かし、切れ目のない育児支援を」

時友(以下、時)まずは、未就学児への芦屋市ならではの取り組みについて教えてください。

芦屋市担当(以下、芦) 福祉大国フィンランドが実施する妊娠・出産・子育ての切れ目のない育児支援策=「ネウボラ」が注目されていますが、芦屋市もまさにそれをイメージして取り組んでいます。

 妊娠・出産・子育ての切れ目のない育児支援を意識しているというのは、今回取材した神戸市、淡路市、洲本市でも聞きましたが、芦屋市では具体的に何か特別なことをしているのですか?

 はい。普通、子育て支援と母子保健は、連携はしていても別の場所にあるのがほとんどなのですが、同フロアの同じ場所にオープンフロアで一緒に仕事をしながら、同じ場所で窓口を設けています。しかも、そのオープンフロアのすぐ横に「むくむく」という乳幼児と保護者のかたのつどいの場があり、子どもが自由にあそべる全天候型の遊び場をつくってあるので、「保健センターへ相談行く」というハードルをかなり下げられていると思います。

 実は今この取材も、その「むくむく」と子育て支援と母子保健のオープンフロアの横にある会議室でしているのですが、この建物自体がオープンな雰囲気で、1階のカフェもおじいちゃんおばあちゃんのコミュニティみたいになっていますね。

 そうなんです。ここは、芦屋市の「保健福祉センター」という場所ですが、赤ちゃんからご高齢者まで、すべての市民の健康づくりを推進するためにいろいろな保健福祉サービスを行なっている場所なんです。

 「むくむく」は人気ですね。さっきからお母さんたちが出たり入ったりしているのが見えます。

 「むくむく」だけで1日に50組100名ほどの利用者がいます。テラスもあるので、晴れている日はテラスでも子どもを遊ばせられるし、夏はミニプールを出したりもするので、それも人気の理由かと。こういった「つどいのひろば」という名の施設は芦屋市内に全部で6カ所あるのですが、そのうち3カ所を使って毎週金曜日に第一子で一歳未満の乳児を持つお母さんだけを対象にした「カンガルークラブ」という場をつくっています。新米ママが集まって、子育て講習を受けたり、交流をしたり、保育士や幼稚園教諭の資格を持つスタッフに気軽に相談できたりします。芦屋市は転勤で来られる方もとても多いまちなので、こうした横のつながりをつくれる場所は重宝されていますね。

芦屋市子育て世代包括支援センター

子育て支援と母子保健の窓口が同じスペースに

上の写真の横を通るとすぐ奥が「むくむく」。ここに来るついでに窓口で相談も可能

取材中も「むくむく」には入れ替わり立ち代わりお母さんたちが

 国際色豊かな自習室と、防音ルームもありましたが。

 芦屋は兵庫県立芦屋国際中等教育学校があるので、外国人の学生も多いのです。ここの自習室はあらゆる国籍の学生が使っていますね。隣の防音ルームでは楽器の練習ができるようになっています。

 市のサイズの割に、公共の子育て支援施設の数も充実している印象を受けます。

 そう思います。6カ所の「つどいのひろば」以外にも、親子で気軽に集える「あい・あいるーむ」が週に1回、場所を変えながら用意されています。他にも、「なかよしひろば」も週2回あります。「なかよしひろば」では、市内の決まった幼稚園の園庭や遊戯室、砂場で親子一緒に遊びながら、そこにいる子育てセンターのスタッフに気軽に相談もできます。ここの福祉センターの運動室を使って週に1回「あそぼう会」という体を動かして親子で遊ぶ会もあります。他のいくつかの幼稚園や保育所でも、園庭を開放して公園のように使えたり、保育士に相談できる時間をつくったしていますし、児童センターでは年齢別にイベント開催もあります。また、自主活動グループやいわゆる芦屋のイメージに即したような幼児教育をする私立や認可外の保育所などもたくさんあります。

 私立のモンテッソーリ教育や早期からの英語教育などに力を入れるところもあるということですよね? そういった選択肢も多いのは確かに芦屋ならではですね。

 あと、「芦屋市わくわく子育てアプリ」も好評いただいております。市内で開催される子育て系のイベント情報を一覧でチェックできたり、子育て支援施設を簡単に探せるマップ機能や、お子様の月齢に合わせた情報がプッシュ通知で届いたりします。

 それは便利ですね。プッシュで届けてくれるのは、経験的に本当にありがたいです。

 保育士数などについても、国の基準より高い基準を独自に設けて採用しています。あとは幼稚園では、夏休みでも1日800円(8:50-16:30)で預かり保育を受けていますね。

 うーん。親身な支援が、コンパクトなサイズのまちにしっかり凝縮されているという印象ですね。

芦屋市の教育情報 後編に続く

芦屋市の保育施設一覧
保育施設一覧
http://www.city.ashiya.lg.jp/kodomo/ichiran_02.html

幼稚園・認定こども園一覧
http://www.city.ashiya.lg.jp/kanri/youchienichiran.html

芦屋市保健福祉センター
芦屋市呉川町14番9号 0797-31-0612

子育て世代包括支援センター
芦屋市保健福祉センター2階 0797-31-0611

芦屋市わくわく子育てサイト

この暮らし体験のナビゲーターについて

デュアルライフ研究所 時友真理子

自然と文化のいいとこどりできる、これからの新しい暮らし方、「デュアルライフ」について研究します。

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