島の仕事とくらしvol.3 〜おのころ藍 Awaji 藍Land Project 根岸誠一・えりーにさん<前編>~

Awaji 藍Land Project 根岸誠一さんとえりーにさんを淡路市暮らしナビゲーターの堺野菜穂子が訪ねました。

2013年に大阪から淡路に移住し、大阪との2拠点居住を経て、オーガニック藍の栽培から本建正(ほんだてしょう)藍染、商品開発までを行うようになったAwaji 藍Land Project 根岸誠一さんとえりーにさんを淡路市暮らしナビゲーターの堺野菜穂子が訪ねました。

淡路島の東浦・釜口は1年を通して気候が温暖で、海岸線からすぐ山になる自然豊かな地区です。海岸線に沿って走る国道28号線から山側に入ってすぐの場所に「Awaji 藍Land Project」 の工房と畑があります。

私が奥様のえりーにさんと出会ったのは5年ほど前。えりーにさんが植物染めをするための原料となる茜や藍などの栽培を始めた頃でした。その後、夫婦で藍に魅了され、多くの人たちとの縁で藍染工房を生業にするようになるまで、どのような経緯があったのでしょうか。

都会を満喫していた日々から、自然が暮らしをリードする毎日へ

大阪で縫製の仕事やショップ経営をしていた誠一さんと、美大で空間デザインを学び、音楽イベントの空間デザインやテレビ番組のセットなどを手掛けていたえりーにさんは、東日本大震災をきっかけに大阪以外での暮らしを考えるようになりました。震災発生後、すぐに海外や地方に拠点を移す友人がいる一方、ふたりはすぐには動けずにいましたが、心のなかで、もやもやとした思いが続いていたそうです。そんなある日、音楽関係の友人が企画した淡路島の菜音ファームへのツアーに参加したことが、ふたりを行動へと導きます。

そこで出会った人たちの暮らしや淡路島の自然に惹かれ、大阪から淡路島へ通う日々が始まりました。当時、生活の拠点だった大阪の難波から車で1時間という近さもあり、レンタカーを借りて気軽に来られたことも、二拠点生活に踏み出した大きな要因だったそうです。

えりーにさんが特に魅力を感じたのが、東浦で見た朝日と、新鮮な食材でした。大阪では夜型の生活を満喫し、食材はスーパーで購入するのが普通でしたが、ここでは朝日の美しさに感動し、野菜はすぐそこにある畑で収穫し、魚は目の前の海で獲れる!このことに人生観がすっかり変わってしまったそうです。そしてドッグフードしか食べなかった飼い犬が、地元の人にもらった獲ったばかりの魚を美味しそうに食べたことが決め手となって、二人は平日は淡路島に住むことを決断をしました。

草木染め、オーガニック。そして藍の種との出会い。

その後、幸運にも淡路島で借家が順調に決まり、平日は淡路島に、週末は大阪に住んで、大阪や神戸で仕事をする2拠点生活が始まります。

淡路島にいる間、誠一さんは縫製の仕事や週末に開く大阪のショップの準備を、えりーにさんは依頼を受けた神戸や大阪の音楽イベントの準備などを行い、島でのゆったりした暮らしと、大阪のアーバンライフの両方の良さを楽しんでいたそう。

そんなある日、ドライブで偶然立ち寄ったあわじ花の歳時記園で手伝ってくれる人を探していたオーナーから声がかかり、えりーにさんがアルバイトを始めることに。あわじ花の歳時記園では草木染めのワークショップを開催していて、えりーにさんはアシスタントを任されるうちに草木染めの楽しさに惹かれていきます。 同じ時期、誠一さんは淡路島での暮らしで身近に感じてきたオーガニック野菜の栽培を、友人と畑を開墾するところから始めていました。そして、大阪時代の友人がたまたまプレゼントしてくれた藍の種が、その後のふたりの暮らしを大転換させるのです。

さて、いったい何が起こるのでしょうか? この続きは、<後編>でご覧ください。

この暮らし体験のナビゲーターについて

堺野菜穂子

神奈川県横浜市出身。兵庫県宝塚市を経て、5年前から淡路市在住。
ノマド村のショップ「キクハナ 」店主。暮らしと働くを近くに!をテーマにまずは自分の暮らしを実践中。

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