手に職のない人が里山に移住してみた!Vol.1

地方に移住って、何か手に職を持っていないと仕事がないのでは…?について考えてみるコラムです。

神戸の里山を拠点に、仕事を見つけた!

島&都市デュアルの暮らしナビゲーターを務めます神戸市在住の鶴巻耕介というものです。
拙い文章ですが、「手に職のない人が里山に移住してみた!」というコラムを通じて、移住を検討している方の一つの情報になればと思っています。

私は神戸市といっても、多くの方が想像されるような港町神戸の住人ではありません。神戸市には、「六甲のおいしい水」でもお馴染み六甲山が東西に広がっておりまして、その港と逆サイド(別名裏六甲)の『神戸市北区淡河(おうご)町』という農村地域に住んでいます。『裏』というダークサイドな感じが好きです。かつてある住民の事務所にお邪魔したとき「神戸のチベット、淡河」という神々しい標語が飾ってあったのを覚えています。というわけで、おそらく神戸の里山担当ということでこの暮らしナビゲーターにお呼ばれしたのではないかと思っております。

(これが神戸のチベット!)

このvol.1は私の自己紹介という読む方にとってどうでもいい早速にしていきなり苦行な回ですが、vol.2以降の前提条件を知る上でお付き合いいただけますとこれ幸いです。

私、今でこそ神戸市民をしれっと名乗っておりますが、生まれも育ちも東京です。品川区のはずれにある海辺の埋め立て地に、マンションが70棟ほどひしめき合う団地で育ちました。
高校まで東京で生活した後、「大学生と言えば一人暮らし!(色んな意味で)」という願望を実現するために兵庫県西宮市の大学に進学しました。
その後、就職した会社で宮城県に配属となり2年強過ごした後、西宮の大学時代に関わっていたNPO法人に転職し、3年前に独立して現在に至ります。
これまでの仕事は、塾のコンサルティングやNPO法人の事務局といった、いわゆる手に職系というよりは、ゼネラリスト型のホワイトカラーの職業人でした。

この淡河町は妻の実家がある場所なのですが、ここには4年前に移り住みました。
現在は、コミュニティを耕すという意味を込めて「つるまき農園」という屋号を名乗り活動しています。

3年前に独立するときに、1つ試してみたいことがありました。
それは、「仕事を複業化する」ということでした。
なぜなのかはこの連載コラムの中で少しずつ書き連ねていくとしまして、今回のコラムでは、現在関わらせてもらっている仕事や役割をご紹介していきたいと思います。

【つるまき農園取扱作物一覧】
1、サツマイモの観光農園
こちらは妻の実家がサツマイモ農園ということもあり、半分立ち上げ、半分引き継ぐような形で3年前からスタートしました。神戸市内の保育所や幼稚園の芋掘りの受け入れや、サツマイモの販売をしています。
〇時期:春に2週間ほど植え付け作業、その後秋の収穫まで2週間に1回ほど草刈りなどの管理。9~10月は週2回ほど保育所や個人のお客さんの受け入れ。販売分は随時年末頃まで。

2、農村定住促進コーディネーター
まさにこの「島&都市デュアル」にも通じるお仕事ですが、神戸市北区の里山エリアの移住促進の仕事です。農村は中々不動産情報が出てこず、またうまく移り住めても村のしきたりなど分かりにくい面があることから、空き家を開拓し移住希望者を繋ぎ、移住後のフォローも担うことを目的に活動しています。
〇時期:通年、問い合わせがあるごとに対応、週末に定住相談会の実施など。

3、長期実践型インターンシップのコーディネーター
神戸の中小企業と大学生を、半年間という長期のインターンシップで繋げる仕事です。大学生が自分のキャリアを自分で切り拓く力をつけ、意欲のある学生を育てる過程を通して企業活動の促進に繋げることを目指しています。この仕事だけ唯一港側に出ていきます(笑)。なので私は毎日交互に里山&都市デュアルを繰り返しています。
〇時期:毎週2~3日程度。

4、茅葺き職人のテッタイ
神戸市は、実は全国屈指の茅葺きの町なのです。そんな神戸に、同じ淡河町に住む30代の茅葺き職人さんがいて、その現場仕事のお手伝いをしています。このような現場仕事には、昔から職人さんとは別に、テッタイ(手伝いという言葉がなまったらしい)という役割の人がいて、職人さんが作業を進めやすいように補助するような仕事をしています。
〇毎週2日程度。

5、淡河町に現存する歴史的古民家保存会の理事
昔の大名や庄屋さんが泊まったとされる「淡河宿本陣跡」という場所を、地域のメンバーで改装し、活用を進めています。こちらは地域活動と仕事の狭間といった感じでしょうか。
〇時期:通年で、仕事の合間をぬって。

6、淡河町まちづくり団体の事務局
2011年頃から、20代~50代の有志のメンバーが集まって、淡河の明日を考える会(通称淡河ワッショイ)というグループを作って、私は2013年頃から仲間に入れてもらいました。地域でのイベントから、農産物のブランド化、地域交通課題の解消といったことまで、多岐に渡って活動をしています。
〇時期:通年で、仕事の合間をぬって。

7、その他
通年ではないのですが、春先に企業さんの新入社員研修のファシリテーターとして入ったり、全国で行われている防災研修のスタッフとして関わったりしています。
〇時期:新入社員研修は春先。防災研修は2~3か月に1度2泊3日程度で出張。

とこんな感じで節操のない生き方をしています。
この中には、これまでの仕事でスキルを積み重ねてきたものもありますし、30代になって初めて取り組んだ仕事もあります。

なぜわざわざこんな仕事の仕方をしているのでしょうか。
そんな人体実験の模様から見えてきたものを、次回以降綴ってみたいと思います。

この暮らし体験のナビゲーターについて

鶴巻耕介

2014年に神戸の農村地域に移り住み、コミュニティを耕すの意を込めて「つるまき農園」という屋号で活動中。 百の知恵と技を持つ現代版お百姓さんになりたい。

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