旅の最後に訪れたのは、洲本市の五色浜で製塩業を営む塩職人・末澤輝之さんの工房。錦さんが昨秋北野にオープンしたジャーキー専門店『NICK JERKY』の商品に、こちらで作られている「自凝雫塩(おのころしずくしお)」を使っているというご縁もあって、今回特別に製塩の様子を見学できることになったのです。
塩職人・末澤輝之さんと、五色浜をバックに記念撮影。末澤さんも、塩作りの理想の地を求めて神戸市内から淡路島に拠点を移した移住者です。
末澤さんの塩作りに必要な材料は、淡路島の海水のみ。これを末澤さんご本人が手作りした木組みの枝条架(しじょうか)に移し、海水の塩分濃度を上げる作業を行います。
設置した10数箇所のノズルから、五色浜から引き込んだ海水が勢いよく噴射! 黒いネットを伝って4メートル下の容器まで滴り落ちていきます。この工程を何度も繰り返すうちに風や日差しによって水分が飛び、少しずつ塩分濃度が高まっていくのだそう。
濃度の高まった海水を特注の鉄釜に移し、40時間かけて薪で煮上げて結晶化させます。
初めて見る塩作りの現場に錦さんたちも興味津々!
結晶化した出来たての塩がこちら。この後専用の杉樽に入れて一日熟成させれば完成です。丁寧に、時間をかけて作ることで、淡路島の海の成分を凝縮した「素材の味を引き出す究極の塩」が完成するのですね。
淡路島の海水のみを使い、多数の工程を経て完成する末澤さんの「自凝雫塩(おのころしずくしお)」。錦さんもその丁寧な製法に「おいしさの秘密が分かった気がします」と大満足の様子でした。
大充実の一日を終えて、昭光さんに今回の旅の感想を伺いました。
「島の自然とおいしいものを満喫した充実の一日でした。気軽に旅気分が味わえて、島での出会いをすぐに自分の仕事に活かすこともできる。都市と島が近い神戸だからこそ叶えられる、他の街では得られないメリットだと思います」
都市部と島を短時間で行き来できる、この絶妙な距離感は神戸にしかない、最大の魅力。仕事とプライベート、両方の“デュアル“を同時に体感できた、思い出に残る一日となったようです。